ベーシックインカム考 七方ふさがり一方あかり

ベーシックインカムという、まぶしすぎる“あかり”を、正面から見てみようではないか。

戸別所得保障制度について

 民主党の「戸別所得保障制度」ですが、どう思われますか?『米などの農産物の販売価格が生産費を下回った場合、差額を国が補填する』ということですが、農家のやる気をそぐという議論も多いようです。

■ベーシックインカムとの類似点
・生活保障をしてくれる
・直接給付である
・人より努力すれば報われる

■ベーシックインカムとの相違点
・対象は農家のみに限定
・給付単位が個人ではなく戸別である
・給付額の計算が複雑と思われる

 実際にはどれくらいの保障なのでしょうか。農業を続けることができるための最低レベルまでの保障なのでしょうか。それとも、それなりにリッチな生活ができるレベルなのでしょうか。現段階ではまだ分かっていないのだと思いますが、そこがとても重要なポイントだと思います。

 少なくとも、農家の収入が低く、若手が安心して就農できないという問題へのひとつの解決策だとも思います。農業が好きな方は、安心して前向きに頑張ることができそうです。

 ただ、「人より努力すれば報われる」かどうかが問題です。農作物の輸入自由化の動きに伴い、農作物の価格下落は進むでしょう。これでは、どう頑張っても赤字(=補填してもらえる)となりそうです。それならば頑張るのはムダだと思う農家が増えるかもしれません。これでは意味がありません。これを避けるためには、関税はある程度必要なのかもしれませんが、難しいところです。

 いずれにせよ、ベーシックインカムとは似て非なるものですが、所得保障をするこの制度が人々のやる気にどのような結果を生むのか、それがベーシックインカム導入論議にどんな影響を与えるのか、非常に興味深いところです。

電気自動車が普及すると・・・

 電気自動車はガソリン車に比べて部品点数が少なく、下請けメーカーがこれまでより少なくてすむという話があります。これまでガソリン車用の部品を作ってきたメーカーは仕事がなくなる、ということです。さぁエライこっちゃ、雇用がなくなる、という話になりかねません。
 しかし、同じ品質(で、なおかつ環境負荷が低い)の製品を、労力をかけずに作れるのであれば、社会は豊かになるはずです。仕事の量が減って、享受できる財やサービスの量(社会の富)は変わらないのですから、みんなハッピーなはずです。

 でもそうならないのは、やり方に問題があるからです。つまり仕事が減ったら、その分従業員を解雇するだけで、解雇になった従業員は収入がなくなり、その結果、その人たちには富は行き渡らないのです。

 解雇された方は、最低限の生活保障はされたとしても、前より不幸になるでしょう。みんなハッピーになるどころか、逆に不幸が増えてしまいそうです。

 そう、富の再配分の話です。だって、富は十分にあるのですから、あとは山分けにするだけです。そのためには1人10万円程度のベーシックインカムを、と思うのですがいかがでしょうか。

「給付付き税額控除制度」検討へ

以前から取上げている給付付税額控除ですが、民主党は早速検討に入りました。「社会全体が補い合い、支え合う新しい社会モデルの構築」を目指すんだそうです。

新政府税調がスタート、「給付付き税額控除制度」検討へ


この制度はつまり、一定以下の収入しかない人には、減税ではなく現金給付をする、ということです。ベーシックインカムの考え方に近くなります。

違いがあるとすれば、
・「給付付〜」の給付単位は世帯であるが、ベーシックインカムは個人が対象
・「給付付〜」は収入が下がってからの給付なので、苦しくなった後でもらえるが、ベーシックインカムは誰でも定期的に受け取れる。
・「給付付〜」はベーシックインカムより制度がずっと複雑。
といった点でしょうか。

 給付する額がいくらであるかにもよりますが、社会保障制度としては重要な第一歩だと思います。今後どうなるか楽しみです。民主党さん、必要なら環境税なんかで増税してね。

地産地消も促進する財源

 基本的に、地産地消が地域の活性化、持続可能社会、環境保護にプラスに働きますので、積極的に推進されていることになっています。ところが、中国や東南アジアから安い商品が入ってくるため、地産地消を妨げているケースがあります。近年の貿易自由化の流れがこれを悪化させるのではないかと懸念されています。

 だからと言ってこの流れに逆行して、輸入品にさらに課税するというのは非現実的でしょう。そこで、消費税率を増税して、その代わりに国内企業の法人税などを減税するという方法が考えられるます。

 そうすると、国産の製品価格は増税と減税が相殺されますが、外国産の製品は消費税を増税した分だけ高くなります。これって、事実上の関税です。このやり方は以前ご紹介した下記の本で、ベーシックインカムの財源のあり方として紹介されていました。
ベーシック・インカム―基本所得のある社会へ
ゲッツ・W. ヴェルナー,小沢 修司
現代書館

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 ベーシックインカムの導入で、経済活動が今より非活性化する可能性があります。持続可能社会のためにはそのほうがよいと思うのですが、輸入への依存(特に農産物の)が高まってはやはりマズイと思います。それを避けるためにも、ベーシックインカムの財源は消費税がよいと思っています。何と言っても、企業業績に左右されにくい安定財源ですし。

 なお、「消費税アップ、法人税減税」だけ聞くと、企業優遇、消費者いじめのようですが、当然ながらベーシックインカム(か、給付付税額控除など)で消費者に還元すれば全く問題なしです。

桃花鳥が7羽に減ってしまったと・・・

 さだまさしさんの曲に「前夜(桃花鳥)」という歌があります。読めませんか?そうですよね、私も読めませんでした。“トキ”と読みます。
 1982年のアルバムに収録されているこの曲では、トキが7羽に減ってしまったという記事を読んで、そんな小さな出来事より明日の献立の方が大切だという気持ちと、それではいけないという思いが交錯しています。歌詞はこちらからどうぞ(←この曲のメロディーが流れますので、ご注意ください)。途中コメントが沢山入っていますが、JASRAC許諾済みだそうですので。。。

 ご存知の通り、トキの野生復帰が進んでいます。幸運なことに、トキの問題は国民1人1人が特段の関心を持つことがなくてもここまで改善してきました。このような、特定の地域で関係者が頑張ればなんとかなる問題については、国や専門家にアウトソーシング・丸投げできます。

 しかし、現在の環境問題は産業構造、ライフスタイルの見直しが求められており、国民全員が多かれ少なかれコミットしなければなりません。1人1人の関心+行動が求められているのです。とはいえ、目の前の生活のことだけで精一杯であれば、それどころではないのも事実でしょう。
 この歌を聴くたびに、私の持論である「社会保障なくして環境対策なし」に思い至ります。それだけではないディープな歌詞なのですが、、、良かったら聞いてみてください。
 「前夜(桃花鳥)」←少し試聴できます。

 さだまさしさん、結構好きなんですよね。何度聴いても泣ける歌が多くて、新幹線なんかで一人でウルウルすることも・・・。

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Author:MH
株式会社アミタ持続可能経済研究所という環境コンサルティング企業に勤務。特に廃棄物問題についてコンプライアンス、適正処理・管理についてセミナーやコンサルティングを行っている。既に議論de廃棄物というブログを運営している。
ベーシックインカムについては、「環境問題を解決するために重要なツールとなる」という考えから興味を持つことになり、別途このブログを持つこととなる。


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