ベーシックインカム考 七方ふさがり一方あかり

ベーシックインカムという、まぶしすぎる“あかり”を、正面から見てみようではないか。

民主党マニフェスト

 民主党のマニフェストの中に、給付付税額控除制度の導入が取上げられています。ちなみに「税制」というカテゴリーに入っています。

給付付き税額控除制度の導入

引用しますと
**********
相対的に高所得者に有利な所得控除を整理し、必要な人に確実に支援ができる給付付き税額控除制度を導入します。

生活保護などの社会保障制度の見直しと合わせて、(1)基礎控除に替わり「低所得者に対する生活支援を行う給付付き税額控除」(2)消費税の逆進性緩和対策として、基礎的な消費支出にかかる消費税相当額を一律に税額控除し、控除しきれない部分については給付をする「給付付き消費税額控除」(3)就労への動機付けのため、就労時間の伸びに合わせて「給付付き税額控除」の額を増額させ、就労による収入以上に実収入が大きく伸びる形で「就労を促進する給付付き税額控除」――のいずれかの目的若しくはその組み合わせの形で導入することを検討します。ただし、不正還付・不正受給を防ぐためにも所得の正確な把握が必要であり、納税と社会保障給付に共通の番号制度の導入が前提となります。

なお、税額控除額全額を控除するだけの税額がなく、給付を受けることになる場合は、その給付額はまずは年金や医療等の社会保険料負担分と相殺することを検討します。
**********

 基本的にはよい方向だと思います。最低限の生活(所得)の保障になるのであれば、社会への逆恨みによる殺傷事件は減ることが期待できますし、失業・倒産の恐怖による環境犯罪も減るのではないかと思います。

 で、要望です。緑の部分については、多くの方が働き口がないことで困っているのだから、ナンセンスだと思います。さらに青の部分については、やっぱり手間がかかりすぎだと思います。
 一度これをやってみて、管理が大変だからベーシックインカムにしちゃいましょう、ということになればいいのですが。ちなみに、民主党はベーシックインカムの勉強会をやっているようです。

コメント

ベーシックインカム

はじめまして。私は最近ベーシックインカムのことをしってその可能性に惹かれています。私は今まで北欧型の高福祉高負担型社会を理想としていましたが、ベーシックインカムを知ってからは大きく考え方が変わりました。

私がこの制度について驚いたのは従来は相反すると思われていたものが両立できる可能性があるという点です。例えば小さな政府と手厚い保障のようなものは両立できないと思っていました。またベーシックインカムは社会保障の観点だけでなく消費の喚起の側面から経済対策としての位置付けを行う考え方もあります。

いずれにせよ私はベーシックインカムについては今までのような社会政策としてだけや経済対策としてだけというような一面だけを考えた政策ではなく重層的な意味合いがある政策のように思われます。その意味で非常に可能性を感じさせる政策だと思います。

がこ様

コメントありがとうございます。

おっしゃるとおり、ベーシックインカムは導入当初の効果だけでなく、その後じわじわと社会を変えていける政策だと思います。いわば、漢方薬のようなもので、長い時間かけて体質改善=社会の構造改革ができるのではないかと考えています。

環境問題の仕事をしながら、実はベーシックインカム導入こそが環境問題を解決するために不可欠なのではないかとすら思うようになりました。

今後も意見交換させていただければ幸いです。

ご丁寧にありがとうございます。ベーシックインカムについてはご指摘のとおり雇用問題+社会保障問題+景気対策等様々な観点から有効な政策であるように思います。

その中でいろいろと調べていくうちに景気対策としての部分で興味を引かれる考え方がありました。古山明夫さんの公共通貨の考え方です。その中ではベーシックインカムを消費刺激策の一つとして位置づけてその支給に関しては新しく公共通貨を創設して支給するというものです。

私が面白いと思ったのはその公共通貨の特徴として株や土地は買えないことと使わくとも手数料として減っていくというところです。つまりこの公共通貨は消費にだけ回されることが目的であって貯蓄や財産形成に回されることを防止するという狙いがあるようです。これは非常に面白い考えに思います。というのもお金というものは全てのものと交換機能があるというのが基本ですから、それを一部の交換機能しかないものにしようとするのですから興味深いと思います。

もちろん問題点もあります。一般に政府通貨などが発行された場合インフレを起こすという説もありますし、そもそも2つの通貨が出ているのですからそれでやっていけるのか疑問もあります。ただ現在様々な経済対策が消費そのものに回らず貯蓄等に回る部分が大きいことを考えるとベーシックインカムを導入した場合でも経済対策としてそれを考えた場合、その用途を消費に限定する方策を考える必要があるのではないかと思います。

がこ様

公共通貨について、ご紹介ありがとうございます。
「ベーシックインカム・実現を探る会」でも講演されていますね。

使わなかったら価値が下がる、しかも消費財にしか使えないという意味では、地域通貨で似たようなものがあったかと思います。このおかげで地域経済が活性化したことがあるらしいです。政府が発行するといくぶん性格が変わりますが、考え方としては有効なんでしょうね。

少なくとも、カネがカネを生み出すという仕組みには、大いに問題があることは確かだと思います。

支給額について

一つ質問があります。支給額については具体的にはどのくらいを想定しておられるでしょうか。私は月5万円くらいを想定しいます。私はこれは枝葉の議論ではなくて本質に迫る問題ではないかと考えています。というのはベーシックインカムで保障されるべきものは何かという問題がその根本にあると思います。つまり保障されるべき最低とはどこかということです。

支給額を考える時に一つの考え方として憲法25条の「健康で文化的な生活」が引き合いに出されることがあります。私はベーシックインカムで保障されるものは健康(生命)は保障するべきだがそれ以上の文化的な生活は保障すべきではないと考えています。私はある程度労働と所得を切り離して自由になるべきだとは思いますが、それは最低限であるべきでそれ以上のものを求める場合は労働によって所得を得るべきではないだろうかと思っています。

また私はベーシックインカムが導入された場合の労働意欲に疑問を持っています。これは人間観に関るのですが、私は例えば月10万円を支給した場合大部分の人が殆ど働かなくなると考えています。マズローの欲求限界説そのものはそのとおりだとしても全ての人が自己実現の段階にいくとは思えないのです。

もちろん高齢者や障害者等には別途支給する必要があると思いますが、失業者に関してこの最低額以上のものを支給する必要があるのか疑問を持っています。

私は月5万円というのは郊外で切り詰めた生活をすればとりあえずは生きていける額という意味でその額を考えています。これに医療制度があればやっていけるのではないかと思います。私はベーシックインカムについて生命を維持する最低は保障すべきだが、それ以上のことは働いて稼ぐべきではないかと考えています。

給付額

がこ様

給付額によってベーシックインカムで実現できることが大きく変わってくるというのは、私も同意見です。

具体的な額がどうなるかはともかく、私がベーシックインカムに求めることは、もしかしたらご懸念されていることそのものなのかもしれません。つまり、「(お金を得るために)働かなくってもいいや」というレベルにまで持っていくということです。

ここでいう「働く」とはいわゆる賃労働のことです。

狙いは、「賃労働しなくってもいいや」、と多くの方が思うことで、お金が払われない、若しくは十分に払われない労働、サービス、言ってみればボランティア活動、環境保全活動が活性化させる点にあります。我々の社会は、この賃労働以外の労働をもっと必要としています。

みんながボランティア活動したら、どうなるか、、、でも多分製造業に就く人は残ると思います。それも十分なレベルです。仕事は無理強いされなければ、基本的には面白いものだからです。
それに大体、機械化が進んで生産効率が上がっているので、仕事がない、つまり大して人は必要ではないのです。
もし「人が足りない」ということになれば、ボランティアしている方々が「じゃぁ手伝おう」ということで手伝いに行くと思っています。

もちろん、ボーっとしている人は残るかもしれません。それは不公平と感じるかもしれませんが、ベーシックインカム導入で得られるメリットに比較したら、微々たるものだと思います。

で、給付額は10万円に近い額でもよいと思っています。3人家族で30万円、これなら賃労働時間を3分の2にして、残りを近所のお年寄りの介護や子育てで煮詰まっている方の手伝いに費やす人が増えると思います。介護保険のような「制度」では提供できない、地域社会でのきめ細かい援助ができるのであれば、社会全体にとってのメリットだと思います。

労働について

堀口昌澄様

私は賃労働に関しては異なる感想を持っています。特に製造業に関してはそうです。というのも私は製造業で働いていますがその実感からすると異なった考えを持つようになりました。

まず製造業で必要とされる人数ということですが、確かに必要とされる人数自体は減っています。ですがそれが直ちに人数がただ減るという意味ではないと思います。というのは残った人の負担はその場合増えるのが殆どだからです。

例えば2つの機械を2人で受け持っていたとして、新たな機械購入して1台を交換したとします。購入した機械が楽に操作できるようになったために、その部分の仕事が1人で出来るようになったとします。それは確かに人数は減るころになりますが、このようなとき殆どの場合残った1人のやることは煩雑化し時間に終われるようになります。今までの分に加えて楽になったとはいえもう一台の管理もしなければならないのですから。新たな機械導入による効率化はそのまま2人で作業すればらくになるところですが、実際にはその分を1人にして負担が増すようになるのが製造業をしている私の実感です。もちろん何十年も経てばまた話は別でしょうが、現在の実感としての技術革新のスピードでは上記のような状態のように思えます。

また仕事についても確かに仕事は面白い側面もありますが、そうではない部分もあると思います。製造業でも開発等は面白いと思いますが、ラインにいて製造するのを面白いとする人はそう多くはいないと思います。それは正直な実感です。そしてそれを面白いと思う人たちで製造していけるほど技術革新はすぐには進まないように思います。

確かに技術の進歩によって多くの人数をかけずに社会を維持することが出来るようになりました。無駄な仕事と無駄な労力があることも事実です。ですが同時に機械化による効率化は人数を減らすことは出来ますが、残った人の負担が増大している場面が多いことも事実だと思います。効率化による人数の削減だけでなくその際に生まれる負担の増加にも目を向ける必要があるのではないかと思います

まさにそこが問題だと思います

がこ様

機械化の進展により単純労働または業務負荷(以下、便宜的に単純労働といいます)が増加しているという側面はあると思います。ただ現状は、そんな労働でも仕事がないよりはマシ、ということで皆さん働いているわけです。

で、ベーシックインカムを導入すると、「単純労働なんてやりたくない、やるなら短時間で高収入を!!」という要求が生まれると思います。しかしその要求は、妥当なものだと思うのです。誰もが嫌がる仕事であれば、高収入であるべきです。つまり、ご指摘の問題はベーシックインカム導入によりある程度緩和されると考えております。ワークシェアリングが進む、ということなのかもしれません。

ただ問題は、単純労働の場合は海外の労働者と間接的に競争することになるので、賃金は安くなる傾向にあります。にもかかわらず国内の労働者は単純労働を安くやりたがらない=単純労働に依存する業界は、ますます国内に残ることが難しくなるでしょう。ベーシックインカムを世界全体で導入できれば話は別なのでしょうけど。

堀口昌澄様

仰るとおり嫌がる仕事が高収入になることは当然だとは思いますが、別の側面から見るとコストが増すということになると思います。そうなるとベーシックインカムの大前提である社会が成熟して人々が生活するために必要なコストが減ってきているということに逆行するのではないかと思うのです。いくら機械化によってコストが下がったとしても人件費が増大してコスト増になるとそれは社会が賄える人数が減るということになると思います。

それからワークシェアリングについてですが、私はそれは一つの解決策ではあると思います。厳しい仕事でも時間で分ければやれるということはあると思います。ただなかなか賃金を上げて人を集められないというのであるならば、ベーシックインカムの方で調整してそのような仕事にも就いてもらう必要があるのではないかと思います。10万円もらったならばやらなくとも5万円ならばそのような仕事でもやるのではないかと思います。ただ今までのようにフルでやるのではなくてベーシックインカムの導入によりワークシェアすることが出来るようにする必要があるのではないかと思います。

労働と収入の分離は必要だと思います。ですが私は以上のことからそれは限定的であるべきだと思います

給付額は本当にポイントですね

 そもそも給付額が高いと、嫌な仕事は誰もしなくなる、という懸念はあると思います。ただ結局は適正な給付額は、実際にやってみなくてはわからないと思います。
 そのためには、少しずつ額を上げて行ってどの辺りが落としどころかを探るのでしょう。

 本当は「いやな仕事でも誰かがやらなければ皆が困る、であれば自分がやろう」という方が出てくるのが理想だと思います。もしかすると、この給付額が高いか低いかで、その国の国民性が分かるのかもしれません。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する


画像の文字を半角数字で下記ボックスに記入ください。
文字が読みにくい場合はブラウザの更新をすると新しい文字列が表示されます。

トラックバック

http://jizokukanou.dtiblog.com/tb.php/49-f6b93ef7

 | HOME | 

最近のエントリー


最近のコメント


最近のトラックバック


カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

月別アーカイブ


カテゴリー


リンク


プロフィール

MH

Author:MH
株式会社アミタ持続可能経済研究所という環境コンサルティング企業に勤務。特に廃棄物問題についてコンプライアンス、適正処理・管理についてセミナーやコンサルティングを行っている。既に議論de廃棄物というブログを運営している。
ベーシックインカムについては、「環境問題を解決するために重要なツールとなる」という考えから興味を持つことになり、別途このブログを持つこととなる。


検索フォーム


DTIブログポータルへ
このブログを通報
Report Abuse

利用規約