ベーシックインカム考 七方ふさがり一方あかり

ベーシックインカムという、まぶしすぎる“あかり”を、正面から見てみようではないか。

創造的な仕事を増やすために

■仕事をする理由
一般に、「仕事をする理由」には、?それ自体が面白い、?収入を得るため、という2つの理由があると言われています。

ですから、
「面白いし、収入も得ることができる仕事」
というのが理想とされています。

ところが、
「本来は面白いはずなのに、収入を得ることが目的になっている仕事」
も多いように思えます。これは、面白いはずの仕事も労働環境が悪かったり、お金を稼ぐことがとても重要になったり(例えば生活が苦しい、金儲けそのものが楽しくなってしまうなど)するからだと思います。
そうなると、仕事に前向きに取組めなくなる=仕事の質が下がる、という結果になります。
だから「ヤル気をいかにして引き出すのか」というよくあるテーマが持ち上がってくるのでしょう。

■心理学のある実験では、、、
ところで、有名な心理学の研究で、「ある仕事を報酬を与えてやってもらう場合と、報酬なしでやってもらう場合とでは、報酬がないほうが仕事の質(創造性)が上がる」という結果があります。
報酬を得てしまうと、それが目的となってしまい一生懸命仕事をしなくなるということです。または、仕事に報酬がついてくるのは、その仕事が苦痛で面白くないからだ=適当にサッサと終わらせてしまおう、と思うからかもしれません。

このページに説明がありますが、
「仕事がより複雑になるほど、外的な報酬によって仕事の質が傷つけられることも多くなるのです」
ということです。

■ベーシックインカムにより、創造的な仕事を増やす
 さて本題です。ベーシックインカムを導入すると、上記のような問題は減るでしょうか、増えるでしょうか。。。おそらく、減るでしょう。人々は、仕事から報酬を得るという目的意識が以前より薄れ、仕事をする意味について深く考えるようになり、より質が高い、創造的な仕事をするようになる、と思います。

 ただその場合、仕事のスピード、効率は下がるかもしれません。でも、こんなに失業者が増えても、世間にはモノがあふれています。これ以上仕事の効率化を図っても、意味があるのでしょうか。それより所得を広く平等に分配して、「モノも労働力も沢山あるのに、必要な人が購入できていない」という状況を変えるべきでしょう。

 ちなみに、共産主義と同じ結果になると思われた方もいるかもしれません。しかし私が思うに、共産主義の失敗は、創造的な仕事ができないうえに仕事の質を報酬で報いることをしなかったところにあると思います。一方のベーシックインカムは、創造的な仕事を否定しませんし、高収入を否定しているわけでもありませんので、上記の「仕事をする理由」の?も?も保っており、全く状況は違うと思います。

世界規模でのベーシックインカム

■環境問題は世界的問題(当たり前ですが)
 最低限の生活保障ができないのであれば、その方に対して「手間やカネを余計にかけてでも環境を大切に」などと言うことができない、というのが私の考え方ですが、当然これは国内に限った話ではなく、海外においても同様です。
 発展途上国の方が何とか生計を立てるために、過放牧したり、持続不可能な農業をしたとしても、我々は文句を言える立場にはないわけです。もちろん、裕福な人がもっと裕福になるために環境破壊を助長していることもありますが、、、。

■世界規模でのベーシックインカム
 そう考えると、ベーシックインカムを日本国内や先進各国で実現しても、地球規模で起こっている環境問題に対しては不十分ということになります。世界各国の政府にやってもらうという期待をしてもよいですが、とてもそこまで待てないので、誰かが一気にまとめて「世界全体に対してベーシックインカムを」という発想になります。それこそ誰がやるのか、財源はどこにあるのか、物価に差があるので給付額の調整も必要、などなど課題山積でものすごく壮大な構想ですが、真面目に議論されている考え方です。詳しくは下記をご覧ください。

世界規模のベーシック・インカム
世界通貨設立とベーシック・インカム

■日本国憲法と世界人権宣言
 なお、日本国憲法では
************
第二十五条
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する
2国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
************
 とされています。最低限度の生活は、国が保障することになっています。

 世界人権宣言によると
************
第二十五条
1 すべて人は、衣食住、医療及び必要な社会的施設等により、自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利並びに失業、疾病、心身障害、配偶者の死亡、老齢その他不可抗力による生活不能の場合は、保障を受ける権利を有する。
2母と子とは、特別の保護及び援助を受ける権利を有する。すべての児童は、嫡出であると否とを問わず、同じ社会的保護を受ける。
************
 だそうです。

 上記を保障するのは「すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準として、この世界人権宣言を公布する」ということなので、国連が保障することとはなっていません。みんなでやろうね、と呼びかけているだけです。

 本来であれば、国連などの全世界を束ねる組織が社会保障制度を運用すべきでしょう。世界的なベーシックインカムも、もしやるならそんな形になるのかもしれません。
 でも全世界への社会保障制度って、我々が相当腹をくくる、例えば世界がもっと大変な大混乱に陥らないと実現には程遠いのかもしれません。。。被害が出来るだけ少ない段階で実現したいものです。

民主党マニフェスト

 民主党のマニフェストの中に、給付付税額控除制度の導入が取上げられています。ちなみに「税制」というカテゴリーに入っています。

給付付き税額控除制度の導入

引用しますと
**********
相対的に高所得者に有利な所得控除を整理し、必要な人に確実に支援ができる給付付き税額控除制度を導入します。

生活保護などの社会保障制度の見直しと合わせて、(1)基礎控除に替わり「低所得者に対する生活支援を行う給付付き税額控除」(2)消費税の逆進性緩和対策として、基礎的な消費支出にかかる消費税相当額を一律に税額控除し、控除しきれない部分については給付をする「給付付き消費税額控除」(3)就労への動機付けのため、就労時間の伸びに合わせて「給付付き税額控除」の額を増額させ、就労による収入以上に実収入が大きく伸びる形で「就労を促進する給付付き税額控除」――のいずれかの目的若しくはその組み合わせの形で導入することを検討します。ただし、不正還付・不正受給を防ぐためにも所得の正確な把握が必要であり、納税と社会保障給付に共通の番号制度の導入が前提となります。

なお、税額控除額全額を控除するだけの税額がなく、給付を受けることになる場合は、その給付額はまずは年金や医療等の社会保険料負担分と相殺することを検討します。
**********

 基本的にはよい方向だと思います。最低限の生活(所得)の保障になるのであれば、社会への逆恨みによる殺傷事件は減ることが期待できますし、失業・倒産の恐怖による環境犯罪も減るのではないかと思います。

 で、要望です。緑の部分については、多くの方が働き口がないことで困っているのだから、ナンセンスだと思います。さらに青の部分については、やっぱり手間がかかりすぎだと思います。
 一度これをやってみて、管理が大変だからベーシックインカムにしちゃいましょう、ということになればいいのですが。ちなみに、民主党はベーシックインカムの勉強会をやっているようです。

ベーシックインカム論文のご紹介

 片山博文さんという桜美林の先生の環境財源構想としてのベーシックインカムという論文がネットで読めます。

 ベーシックインカムについてまとまった論文は、ネットであまり見かけたことがありませんでした。私が言うのもおこがましいですが、環境問題も踏まえた、ベーシックインカムについて論じているしっかりした内容のものです。ちょっと専門的で難しい部分もありますが。

 よろしければご参考ください。

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MH

Author:MH
株式会社アミタ持続可能経済研究所という環境コンサルティング企業に勤務。特に廃棄物問題についてコンプライアンス、適正処理・管理についてセミナーやコンサルティングを行っている。既に議論de廃棄物というブログを運営している。
ベーシックインカムについては、「環境問題を解決するために重要なツールとなる」という考えから興味を持つことになり、別途このブログを持つこととなる。


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