ベーシックインカム考 七方ふさがり一方あかり

ベーシックインカムという、まぶしすぎる“あかり”を、正面から見てみようではないか。

現代社会の奴隷制度

 奴隷制度の根本は、「誰かに無理やりきつくて大変な仕事をやらせておきながら、その報酬は不当に安い」ということにあるのだと思います。


■仕事と賃金の関係

 さて、現代社会では、

 ?「できる人が少ない難しい仕事→賃金が高い」

 ということになります。需要に対して供給量が少ないので、賃金が上がるのは当然でしょう。


 同様に、

 ?「きつくて大変な仕事はやる人が少ない→賃金が高い」

 ということになるはずです。例えばいわゆる3Kの仕事です。

 でも、なぜか

 ?「きつくて大変な仕事なのにやる人がたくさんいる→賃金が安い」

 となっています。「きつくて大変な仕事(3K)」とは例えばドカタ仕事や、長距離バスやトラックの運転手、IT系や介護なんかもそうでしょう。

■カモフラージュされた奴隷制度
 なぜこんなことになっているのかというと、「他に仕事がないから、3Kでも良いのでやりたい」という人(失業者、ワーキングプア等)が多くいるからだと思います。誰だってのたれ死ぬよりはマシですから。
 でもこれって、最初に述べた奴隷制度と一緒ですよね。奴隷制度では主人が命令しますが、このケースでは社会がほぼ無意識のうちに一部の方に「死ぬよりはマシだろう」と恐喝しながら強制労働させている、といえるのではないでしょうか。それこそ、「カモフラージュされた奴隷制度」と言うことはできないでしょうか?

 これって、人権問題だと思います。でも、誰もこんな奴隷制度を意図して作ってはいないはずです。であれば、「死ぬよりはマシ」という恐怖から万人を解き放つ必要があります。そのためにも、ベーシックインカムのような充実したセーフティネットが望まれるんだとおもいます。

ワーキングプアの方に対して、環境への配慮を求めることはできない

 ナチュラルステップというのはご存知でしょうか?スウェーデンが発祥の環境教育団体です。その中で持続可能な発展のための4つのシステム条件というものを提唱しています。このシステム条件は科学的見地から導き出された文句の付けようのないものですので、企業の環境戦略を考える上での重要な指針になるものだと考えております。

 で、そのシステム条件の4つめがこれ↓です。

  4)人々が自からの基本的ニーズを満たそうとする行動を妨げる状況を作り出してはならない

 解説をそのまま引用しますと、

「社会が資源を利用するに際して条件1から3に収めるためには、真剣に資源節約という精神で効率的かつ公平に利用しなければならないということです。そのためには社会のあらゆる局面において、人間のニーズを満たし、かつ資源を節約するもっと洗練された方法・技術を求める努力をしなくてはなりません。同時に富める国と貧しい国の不公平な資源配分も避けるべきです。」

とされています。

■4つ目のシステム条件について
持続可能性を担保するためには、厳密には1から3の条件で十分なのですが、この4つ目がなければ1から3を実現することはできないため、あえて条件として付け加えているというものです(だったはずです)。

この4つ目のシステム条件は、かなり意味深いものです。そもそも、持続可能な社会ができたとしても、不公平な社会でいいのか?という疑問もあります。そして、不公平な資源配分がもたらす悪影響には計り知れないものがあります。戦争や社会不安だけでなく、貧困が環境破壊をもたらすということもあります。

■ワーキングプアの方にMSCは売れない
少なくとも、今日明日を何とか生きるために必死な方たちに、環境に配慮しなさいなんて言うことはできません。ワーキングプアといわれる方に、少々高くてもFSCMSCを買うべきでしょうとはとても言えません。資金繰りに苦しんでいる中小企業に、産業廃棄物処理業者の現地監査をして、少々高くても安心できる業者に委託しましょうなんて絶対に言えません。

■環境問題と社会保障の関係
最低限の生活保障を無条件で確保することで、この状況を緩和することが可能だと思います。それは今の申請に基づく社会保障制度ではなく、ベーシックインカムとい絶対的な安心感であればなおよいはずです。

環境問題を考えるたびに、ベーシックインカムのことが頭をよぎる、今日この頃でした。

週刊ダイヤモンドを読んで「ベーシックインカム要求デモがあってもいいのでは?」

 週刊ダイヤモンドは、これまでも介護、医療、教育などの現場のひどい状況を特集してきましたが、3/21号の「あなたの知らない貧困」は強烈でした。格差、貧困についてはそれなりに書籍も読んでいましたが、事例の紹介やショッキングなデータがコンパクトにまとまっているため、畳み掛けられるようでした。いつにも増して血圧が上がったような気がします。特に「子供の貧困」のページは、自分に小さな子供がいるだけあって文字通り胸が締め付けられました。

週刊 ダイヤモンド 2009年 3/21号 [雑誌]

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■責任の所在は・・・
 この記事の中にとてもよい指摘がありました。この問題の原因を作ったのは他でもない我々国民の無関心、無理解であるとのことです。まったくその通り、政策の過ちの根本原因は間違いなく我々の意識にあります。
 こんなひどい状態を知りながら、負担増はいやだなんて言っている場合ではないでしょう。欧州では国民はもっと税金を払うことでお互いを支えあっています。

■ベーシックインカムが紹介されています
 期せずして、この特集ではベーシックインカムが紹介されています。先週このブログでも紹介した「給付つき税額控除」が紹介され、これを進めるとベーシックインカムになります、という説明です。週刊ダイヤモンドは発行部数が11万部とのことですから、(読み飛ばしていなければ)11万人の方がベーシックインカムという概念に触れたことになります。

■デモがあってもいいのでは?
 そろそろ、ベーシックインカムの導入を求めるデモが起こってもおかしくはないような気がします。これだけフラストレーションがたまっても大規模なデモがないのであれば、どこかのタイミングで爆発=暴動になるんじゃないかとすら思えて心配です。でも、もしかしたらそのときになって初めて、日本の社会保障制度の抜本改革が実現するのかもしれません。

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プロフィール

MH

Author:MH
株式会社アミタ持続可能経済研究所という環境コンサルティング企業に勤務。特に廃棄物問題についてコンプライアンス、適正処理・管理についてセミナーやコンサルティングを行っている。既に議論de廃棄物というブログを運営している。
ベーシックインカムについては、「環境問題を解決するために重要なツールとなる」という考えから興味を持つことになり、別途このブログを持つこととなる。


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