ベーシックインカム考 七方ふさがり一方あかり

ベーシックインカムという、まぶしすぎる“あかり”を、正面から見てみようではないか。

経済成長と雇用創出の関係

 先日、グローバルコンパクトの会合でILOの駐日代表の方のお話を聞きました。その中で、「ディーセントワークの4つの戦略目標」というものを紹介されていました。その戦略目標の一つに「仕事の創出」があります。

■経済成長しても仕事は増えない
 この「仕事の創出」というテーマに関して「経済は成長しているが雇用機会は不十分」という課題が挙げられていました。経済成長をしても、昔ほど雇用は増えないということです。それだけ企業努力により機械化、省力化が進んでいるということなのでしょう。ILOにも「今の方法で経済成長を推し進めても雇用の確保はできない」という認識があるようです。

 経済成長により雇用を確保するというのは、地球環境のことを考えると明らかに持続可能ではありません。

■雇用確保ではなく収入確保を!!
 我々が直面している問題の本質は、雇用確保というより、収入確保の問題なんだと思います。別に無理やり経済成長したり、雇用創出しなくても、収入があればよいのです。ベーシックインカムを導入すると、この「無理」をしなくて済みます。ILOはベーシックインカムのことをどう考えているのでしょうか?

■参考資料
 以下、グローバルコンパクトの会合で使われた資料とは少し違いますが、他の類似した講座の資料へリンクを張りましたので、ご参考ください。
http://www.unic.or.jp/un-ds/library-course/ilo_human_resources_strategy.pdf

景気変動の影響を受けにくい社会保障制度としてのベーシックインカム

 景気が急激に悪化しています。毎日jpのこの記事から引用してみます。

 「08年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)の実質成長率が前期比12.7%減(年率換算)」

 12.7%減少というのはとんでもない数字のような気がします。ただ、毎年1%成長してきたとすると、12%マイナスというのは大体10数年前の水準です。なるほど、ではその頃と同じレベルの生活をすればいいんだな、と思いきや、そうではないようです。

 「市場では100万人を超える失業者が発生し、完全失業率は6%に達するとの厳しい見方も出ている。」

 ひゃー、えらいこっちゃ、と思いますが、6%なんて大したことがないのです。なにしろ日本と主要国の失業率の推移を見ると、昨年12月の欧米主要国はもっと悪かったようです。

 ところが、他国は失業率10%を超えるなんてことは最近でもあったわけですが、日本ではそんなことは高度経済成長期以降なかったわけです。だから、失業対策などの社会保障が未成熟でも大して問題ではなかったのです。ということで、これから対策を急ピッチで整備しなければなりません。しかし・・・

■失業率が一気に上がると・・・
 予算不足:当然ながら、いきなり失業率が上がるので予算不足に陥ってしまいます。景気対策にさらなる財政出動をしながら、社会保障予算も増加します。しかも税収は落ち込む。。恐ろしい。

 現場は大変?:一気に大量の方が失業保険の手続きをするので、申請受付の現場はてんやわんやになり、もしかしたら給付が遅れたりミスが発生するかもしれません。

■ベーシックインカムであれば
 予算不足は起こらない:ベーシックインカムであれば、失業率があがっても給付額は変わりません。景気が悪くなると財源が足りなくなるという恐れはありますが、そこは景気変動の影響を受けにくい消費税を財源とすることで避けられます。

 現場も安心:しかも、失業保険を申請する手間や給付までのタイムラグがなくなるし、申請を受付する(というより受付業務は発生しない)現場でも混乱は発生しません。なにしろ、失業保険はいつか終わりますが、ベーシックインカムの給付はずっと続きます。

 ベーシックインカムは、このような面からもシンプルかつ安定的な社会保障制度であるといえそうです。やっぱり、いいですねぇ。

景気対策としてのベーシックインカム

 このたびの不況のために、大量の失業者が巷にあふれ、賃金もカットされています。でも、我々の生産設備、サービスインフラ、その他経済活動に必要なモノは何一つとして失われていません。住むところがないという方がいますが、住宅はそれこそ余っているわけです。物理的にはこれまでどおりに生産、消費ができるのです。

 何がいけないかというと、お金の動きです。お金の動きが滞ってしまっているのです。ベーシックインカムは、常時ポンプでお金を吸い上げ、全員に配るということで、ある程度強制的にお金を回しています。

 ということで、ベーシックインカムは、社会保障的側面から語られることが多いですが、立派な景気対策になります。雇用問題+社会保障問題+景気対策という一粒で3度オイシイ政策であるとして、もっと注目されるべきだと思います。

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MH

Author:MH
株式会社アミタ持続可能経済研究所という環境コンサルティング企業に勤務。特に廃棄物問題についてコンプライアンス、適正処理・管理についてセミナーやコンサルティングを行っている。既に議論de廃棄物というブログを運営している。
ベーシックインカムについては、「環境問題を解決するために重要なツールとなる」という考えから興味を持つことになり、別途このブログを持つこととなる。


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