ベーシックインカム考 七方ふさがり一方あかり

ベーシックインカムという、まぶしすぎる“あかり”を、正面から見てみようではないか。

日本の第三世界

日本の「第三世界」という記事が京都新聞にあります。厳しい寒さによって野宿で凍死や餓死する人が多発、海外の難民キャンプと比較しても悪いほうの部類に入るんだそうです。これは一体何なんでしょう。

今回のような経済危機は過去に例がないためもあり、国としても対応できていないのだと思います。しかしだからと言って「国境なき医師団」が先進国である日本で活動しているなんてことがあっていいのでしょうか。

今回の件を教訓に、失業者、ホームレス対策ができるような社会を作っていかなければならないと思います。来年もこんな状態が継続しているのであれば、国際的に見てもとんでもない恥さらしです。

雇用問題の持続可能な解決策としてのベーシックインカム

■景気刺激で雇用確保
 世界的に景気を刺激して雇用を生み出そうという政策が取られています。中国はなんと8%成長を維持できなければ失業率があがるんだそうで、今年はその8%を目標にしています。

 さて、年率8%の成長をするということは、何年で2倍になると思いますか????

 答えは9年です。

■倍倍ゲーム
 話を分かりやすくするため、10年で2倍になるとしましょう。2007年の中国のGDPは3兆2,800億ドル、日本が4兆3,816億ドルですので、少々乱暴ですが日本と中国のGDPが同じだとしましょう。

 そうすると、今から10年後に中国のGDPは2倍、つまり地球上に日本が一個増えることになります。20年後には4倍で日本が3個増えます。30年後にはなんと8倍になります。温暖化の長期目標として40年後の2050年がよく取上げられますが、この年には16倍です。到底こんなことは不可能です。
 倍倍ゲームの恐ろしさはお分かりいただけたでしょう。経済や人口は増加率が一定でも、加速度的に増加していきます。

■雇用問題の持続可能な解決策としてのベーシックインカム
 さて、我々は「雇用を確保するために経済成長しなければならない」という世界に住んでいます。全く持って持続不可能だと思いませんか?物質消費を減らしながら経済成長できるようになればよいですが、それにも限界があるはずです。

 ベーシックインカムを導入すれば、雇用確保のために無理やり景気刺激する必要は減ると思います。低成長率でも雇用問題がない、ということです。しかも政府は雇用確保のために時間と労力を使う必要がなくなり、他の政策に注力できます。
 雇用問題の持続可能な解決策としてのベーシックインカム、どう思われますか?

 (もしかしたらベーシックインカムを導入するということは、定常的に景気刺激策を取っている事になり、常に経済成長し続けてしまう、ということになる可能性もあります。しかし、ベーシックインカムの特徴を総合的に考えれば、経済成長を抑える効果のほうが大きいように思えます。代わりにはやりのGNHが増えるはずです。)

マズローの欲求段階説とベーシックインカム

マズローの欲求段階説というものをご存知でしょうか。

人間の欲求には段階があり、それぞれ
1. 生理的欲求
2. 安全の欲求
3. 所属と愛の欲求
4. 承認の欲求
5. 自己実現の欲求
とされています。

 人間の欲求は1.生理的欲求などの低次のものから順に満たされることになります。例えば5.自己実現の欲求などは、1〜4がある程度満たされてから表面化してきます。
 当然といえば当然ですね。例えば1.生理的欲求が満たされていない=肉体が危険にさらされているときに自己実現なんて言っている場合ではありませんから(聖人君子は除くべきかもしれません)

■我々の社会はどの段階にあるのか?
 では、我々の経済・社会はどこを目標に活動しているのでしょうか。雇用、年金、介護、医療の問題など、残念ながら1.2の議論に集中してます。もちろん、自己実現のために日々努力しているという方はいると思いますが、社会全体のテーマとしてはやはり1.2.が問題となっています。底上げの問題と言ってもいいでしょう。世界の貧困の状況に目を向ければ、なおさらです。

■ベーシックインカム導入で・・・
 ベーシックインカムを導入すると、まず1.は相当満たされます。さらに貧困や社会への不満を原因とする犯罪が減少し、2.についてもかなりの前進が期待できます。もちろん、1.2.を解決するための手法はベーシックインカム以外にもあるとは思いますが、やはりベーシックインカムは強力な方法だと思います。詳しくは、また別の機会で。

 社会全体が進歩していくのは、それ以降(または同時進行)なのではないかと思います。環境問題に対処するとか、人権問題に対処するとか、平和を実現するとか、文化を向上させるとか、すべきことは沢山あります。一部の裕福な人が頑張っても、限界があります。

 まずは、今の日本のセーフティネットをもう少しなんとかしないと、話になりませんね。家を失った方に、「海外の野菜ではなく、国内の有機野菜を買いましょう」なんて言えませんから。

流行のワークシェアリング

 最近の話題から思うところを少し。。。

■ワークシェアリング
 非正規従業員の大量解雇の問題を背景にしつつ、日本では事実上導入実績がない「ワークシェアリング」が話題になっています。解雇するのではなく、1人当たりの労働時間を少しずつ減らし、賃金も減らすというものです。

■できるんでしょうか?
 ホームレスをなくす効果はあるでしょう。しかしこの仕組みがうまくいくかどうかは「労働時間を減らす」という約束が本当に実行されるのか、という点にかかります。そのためにはまず、労働時間の明確化が必要です。書類上労働時間が減っても、実際の労働時間が減らなかったら(=サービス残業が増えたら)、単なる賃金カットです。それはそれでひとつの方法ですが、これをワークシェアリングだと言う会社があったら、それこそ偽装です。名ばかり管理職が横行する中、本当のワークシェアリングが普及するとは私にはちょっと信じられません。まぁ、労働時間が比較的明確なブルーカラーに限っては可能かもしれませんが。

■それとは別にセーフティネットは必要なことを忘れずに
 緊急避難としてのワークシェアリングや賃金カットは理解できます。しかし、これはセーフティネットではありません。国がセーフティネットを再構築せず、産業界に「雇用確保してね」と押し付けてオシマイ、にならないようにしなければなりません。

■(セーフティネットではない)定額給付金について
 一方、定額給付金の人気がありませんが、ベーシックインカムとは似て非なるものです。「全国民に現金を給付する」という政策についての悪いイメージがつかないように祈るばかりです。

やはり影響力は大きいです

皆様

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

■ホリエモンのブログ他
さて、ご存知のホリエモンがベーシックインカムを取上げ、ちょっとした話題になっています。知名度の高い方が取上げると、違いますね。コメントが沢山入っていますので、チラリとでも見てみてください。

六本木で働いていた元社長のアメブロ

実はこの話題、「モラルを忘れていませんか。自戒も込めて」というブログで知ったのですが、とても力の入ったブログです。是非ご参考ください。

他にもベーシックインカムを取り扱っているブログは沢山あります。検索すれば色々出てきます。

いずれにせよ、今年は派遣切りを初め雇用情勢が相当に悪化し、さらに選挙も控えているため、社会保障政策についての議論が深まるはずです。その中でベーシックインカムは社会的に認知されるのではないかと期待しています。

■環境問題にとっての意味
これでは私の本業の環境問題が霞んでしまいそうですが、生活のある程度の安心・安定がないと環境問題に取り組む気運が高まりにくいはずです。衣食住足りてようやく、安心して環境問題に取組めるはずです。今は比較的余裕のある企業、人の部分的な取り組みに過ぎません。これでは根本解決につながるはずもありません。
無論、環境問題が我々の生活に深刻な影響をもたらし始めたら別問題ですが・・・。

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MH

Author:MH
株式会社アミタ持続可能経済研究所という環境コンサルティング企業に勤務。特に廃棄物問題についてコンプライアンス、適正処理・管理についてセミナーやコンサルティングを行っている。既に議論de廃棄物というブログを運営している。
ベーシックインカムについては、「環境問題を解決するために重要なツールとなる」という考えから興味を持つことになり、別途このブログを持つこととなる。


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