ベーシックインカム考 七方ふさがり一方あかり

ベーシックインカムという、まぶしすぎる“あかり”を、正面から見てみようではないか。

2兆円直接給付へ

 2兆円一律で給付する方向だそうですね。「減税ということは、税金を払えていない低所得者には恩恵はないのか?」と残念に思っていたのですが、一律給付なら低所得者にも行き渡ります。

■減税するなら、低所得者層へ
 金持ちに減税しても貯蓄に回る可能性がありますが、低所得者であればほとんど使い切ることになる(消費性向が高いってコトですね)ので、この方が効果も高いはずです。

■ベーシックインカム普及の第一歩
 とはいえ、景気対策としてどれほど効果があるか疑問、単なるバラマキという批判もあります。確かに景気対策としては他にすべきことがあるのかもしれません。
 一方で、ベーシックインカム普及の観点からするとよい動きだと思います。なにせ、低所得者層への配慮、事務負担の軽減というベーシックインカムと共通の利点を理由としつつ、政府から国民に一律で給付されるということになるわけです。我々日本人がベーシックインカム的な発想を受入れるひとつの下地になるはずです。それに、今回の給付は1回だけだと思いますが、将来の消費税増税のときに「給付金もセットでやろう」という流れになれば、小規模なベーシックインカムになりますね。

 ちなみに、高速料金をどこまで行っても最高1,000円というのは、反対です。CO2の排出量を減らそうというときに、これでは困ります。もっと公共交通機関を使ってもらう必要があるのに。。。

79歳女性の通り魔事件

 あちこちに記事がありますが、とりあえずココにリンクを貼っておきます。
 通り魔事件を起こせば「福祉施設よりももっといいところ(=刑務所)に長くいられると思った」そうです。「踊る大捜査線」で大晦日に暖かい留置所で過ごすために軽犯罪を犯すホームレスがいたのを覚えていますが、この方は福祉施設に入っているので状況は違うはずですが。。。
 今の福祉施設はそんなに居心地が悪いのでしょうか。しかも福祉施設には「長くいられ」ないようです。これでは相当な不安と不満を持っていたであろうことが容易に想像できます。一体我々の社会は福祉をどう考えているのでしょうか。

■犯罪抑止力としてのベーシックインカム
 この問題は福祉施設のあり方を含めた福祉政策全般の問題だと思います。快適な福祉施設に好きなだけ入所できるのであれば、こんな事件は起こらなかったはずです。しかしもし、ベーシックインカムという制度があったら、この女性はこんな事件を起していたでしょうか。おそらく、収入が保証されることによる安心感が、抑止力として働いたことと思います。秋葉原の通り魔事件も、犯人は派遣契約の打ち切りを恐れていたそうですから、これも起こらなかったかもしれません。
 これから雇用がさらに不安定になるでしょう。ベーシックインカム論議をもっと盛り上げていきたいと思います。

社会変革のためのベーシックインカム

衆議院の予算委員会のやり取りでちょっと気になったものがあります。
毎日jpより

*************
〜前略〜
 長妻氏 センターは作らせない。センターの年間予算は10億円。なぜ官僚はこんな恵まれたところで(再就職先を)探すのか。一般国民と同様にハローワークで探すべきだ。

 行革相 民間は雇用保険があるが、公務員に失業給付はない。官僚は日本国の貴重な経営資源で、生活の保障が途切れる期間がないようにする方がいい。
〜後略〜
*************

 センターとは、官僚の再就職先を斡旋するセンターのことです。
 公務員には失業給付がなくても、類似のものがあるという噂を聞いてはいますが、、、それはさておき、「生活の保障が途切れる期間がないようにする」のであれば、センターを作るのではなく、ちゃんと生活保障をすればいいと思います。そんなこと言っていたら、公務員改革なんてできないでしょう。話がすり替わっています。

 似たような話で、どこかの審議会で「そんな規制緩和をしたら、全国ン万人が失業するのでやめて欲しい」という意見を聞いたことがあります。失業対策のために規制緩和をしない、というのはやはりおかしな話です。

■恐怖が変革を阻む
 既得権を守る人が、社会変革を阻んでいます。既得権を守るとは、今の仕事を続けたい、収入を確保したいということでもあり、根底には仕事を失うことへの恐怖があると思います。ベーシックインカムはその恐怖を緩和します。もちろん、ベーシックインカムがあっても減収はありえるので、完全解決にはつながりません。しかし、ベーシックインカムがある=完璧なセーフティネットが存在するため、社会が「安心」という空気で満たされるのではないでしょうか。社会変革には失業がどうしても伴います。安心できる社会では、人々はそれを受け入れやすいのではないでしょうか。

■北欧では
 話題のH&M、NOKIA、エレクロトラックス、IKEAなど世界企業を生み出している北欧を特集するテレビ番組で、労働者が「失業は怖くない」と言っているのを見たことがあります。北欧は失業者に対する給付が手厚いからです。でも、そのほうが競争力のある柔軟な社会を築けるのではないでしょうか。北欧は政府債務が大きいといっても、日本のほうがよっぽどひどい状況にあるのでは?

 既得権へのしがみつきを弱めるためにも、ベーシックインカムを導入すべきと思います。

ベーシックインカムの導入契機は・・・

 ベーシックインカムなるものを導入するのは、周到な議論の上で行われるか、そうせざるを得ない状況に追い込まれるかの2パターンがあるのではないかと思います。では、前者はともかく、後者にはどんな状況が考えられるのでしょうか。

 たとえば、大規模災害が起こり、安定的に収入を得ることが出来ない方が急増したとしましょう。全人口の3割が被災し、各世帯に給付金を支給することとします。しかしそこでは、「給付すべき人としなくてよい人の区別をするのが大変!!」になります。台風などで被災地が全国に散らばっている場合はとくにそうでしょう。そこで、「悠長に区別しているよりも、全員に一律で配ってしまえ」とはならないでしょうか。
 つまり、「給付対象が非常に多くなり」かつ「給付対象者の選別が煩雑」な場合です。そんなときには、社会が大混乱に陥っているでしょう。経済はガタガタなはずです。だからこそ、最低限の生活保障を求めてベーシックインカムを導入するのです。

 しかし、こんなときには海外からの輸入はおそらくままならず、「金があるのに、モノがない」という状態になりかねません。したがって、国内でかなりの部分の財やサービスを供給できるのでなければ、回らないかもしれません。そのときのためにも、食料自給率を上げなければなりませんね。

消費税率アップにあわせて

 そろそろ消費税率アップが現実味を帯びてきました。10%とか15%とか言われています。社会保障財源が足りなくなるので、どんなに無駄遣いを削ってもやはり何らかの増税は必要なのでしょう。

 個人的には消費税率アップには賛成ですが、やり方を考えたいところです。逆進性を緩和するために、食品など生活必需品の税率を抑えるというのは良くある議論ですが、それより負の所得税の導入を検討して欲しいところです。つまり、所得税としてお金を徴収するのではなくて、お金を給付するのです。

 例えば収入が200万円以下の世帯に、消費税を1%上げるのと同時に3万円支給したらどうなるでしょうか。仮に200万円全額消費するのであれば、消費税の負担が2万円増えるのですから、3万円支給してもらったら1万円のプラスです。2%上げたら、消費税が4万円増えるので5万円支給しましょう。そのときには対象を210万円の世帯に増やします。こうすれば、所得の低い層の方々に対する消費税の逆進性が解消されます。

 こんなふうにして税率を毎年上げていったらどうでしょうか。徐々に支給額と範囲を増やしてベーシックインカムの完成です。とはいえ、現時点でベーシックインカムを目標として税率アップするといってもなかなか理解されないでしょうね。
 いずれにせよ、まずは低所得者層に対して給付することとセットで始めれば、税率アップの理解も得やすいのではないでしょうか。

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MH

Author:MH
株式会社アミタ持続可能経済研究所という環境コンサルティング企業に勤務。特に廃棄物問題についてコンプライアンス、適正処理・管理についてセミナーやコンサルティングを行っている。既に議論de廃棄物というブログを運営している。
ベーシックインカムについては、「環境問題を解決するために重要なツールとなる」という考えから興味を持つことになり、別途このブログを持つこととなる。


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