ベーシックインカム考 七方ふさがり一方あかり

ベーシックインカムという、まぶしすぎる“あかり”を、正面から見てみようではないか。

経済成長は何で必要?

 先週の「経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか」とは逆に、こんな本を読みました。

経済成長って何で必要なんだろう? (SYNODOS READINGS)
芹沢 一也,荻上 チキ,飯田 泰之,岡田 靖,赤木 智弘,湯浅 誠
光文社

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 本のタイトルから連想するに、経済成長の必要性について経済学者が説明しているのかと思ったのですが、そんな話はちょっとだけでした。
 どちらかというと、メーンテーマは貧困問題と経済、社会保障問題についてで、その話の流れの中で「格差や貧困など現代社会の多くの問題を解決するために経済成長は不可欠です」ということでした(←ちょっと乱暴なまとめ方です)。

 確かに短期的には景気が回復しないと何をするにしても厳しいでしょう。ただ、経済成長と資源消費が完全にデカップリングするのでなければ、いつか必ず経済成長はできなくなります。そのときまでに、「経済成長がなくても格差や貧困などの問題が生じない社会」に組み替なければならないと思います。

 また、この本の中で普通にベーシックインカムについても軽く触れられていました。ベーシックインカムがこんなタイトルの本で取上げられているなんて、ちょっと不思議な感じでした。

暇がなければ民主主義は成り立たない

 少し気になっていた本を読みました。

経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか (平凡社ライブラリー)
C.ダグラス ラミス
平凡社

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 平和憲法に対する考え方が少し変わったのですが、まぁそれはここでは置いておきましょう。この本の中に「暇がなければ民主主義は成り立たない」という項があります。

 アリストテレスが言うには、民主主義の必要条件は社会に余暇、自由時間があるということだそうです。確かに、自由時間がなければ政治について知識を得たり、議論したり、デモに参加したり、勉強会に出たり、陳情したり、意見を述べたりする時間も持てません。
 「自由時間を確保するために奴隷が必要なんだ{/face_acha/}」という主張に続くそうです。。。その主張の是非はともかく、奴隷の定義は「自由時間がないこと」ということになりそうです。するともしかすると、我々の社会ではみんな多かれ少なかれ奴隷なのではないか?という話です。

 確かに、十分な自由時間を確保できているのは一部の人だけで、他の人は政治になど影響力を及ぼせていないのではないか?ということになりそうです。いるのは仕事としてロビーイングしている人だけです。ほとんどの人は、数年に一回投票できるだけで、生活者としてはそれ以外には何もしていません。これを民主主義と言ってしまっていいのか、大いに疑問です。

 ちなみに、先日NHKで見たゴミ屋敷の特集では、「自宅は寝るだけの場所で、朝は出勤時間ギリギリまで寝ていたくて、帰宅したらすぐに寝たいので、ゴミを捨てる時間がもったいなかった」という人がいたそうです。ゴミ屋敷の原因には色々あるようですが、働きすぎも原因のひとつのようです。最近ゴミ屋敷が増えているそうですが、こんなことでは、日本の民主主義は死んでしまいます。

 ベーシックインカムを導入したら、この状況は少しは改善するでしょうか?私はすると思っています。でもたぶん、ベーシックインカムを導入できるころまでには、民主主義は相当レベルアップしているはずですけどね。ん、これって、鶏と卵の関係なのかも。

ベーシックインカムの紹介フィルム

 ドイツで作られたベーシックインカムのフィルムが、日本語字幕版となってインターネットで公開されています。まだすべては見ていませんが、映像も交え、よく考えて作られいます。

ドイツフィルム「文化衝動としてのベーシックインカム」

 ベーシックインカムに関する主な疑問について、しっかり取上げられているようです。このフィルムを見ていると、ベーシックインカムというのは、やっぱり革命なんだと感じます。
 それにしても、ベーシックインカムはドイツではかなり進んでいるようです。これだけ議論が進んでいるなら、最初に実現するのはドイツなのかもしれません。

 環境問題への取組みが比較的進んでいる国でもありますし、個人的にとても注目してます。ドイツ語、もっとちゃんと勉強しておけばよかった・・・。

 それにしてもこの「ベーシックインカム実現を探る会」は、HPも活動も充実しています。素晴らしいの一言です。

GNHとベーシックインカム

 失業率を下げるために経済成長をする、国の財政を健全化するために経済成長をする、という話がよくされています。

 でも、所得配分をちゃんとやれば、仮に失業率が上がっても、経済成長しなくてもOKですよね。一方、財政健全化のために経済成長しなければならないなんて、予算の無駄遣いをしたい人の勝手な言い訳のような気がします。
 そもそも有限である地球においては、経済成長なんて永遠に続けることができません。ですから経済成長という指標は、(経済成長と環境負荷が切り離せるならともかく)いつか捨てなければならないことは誰の目にも明らかです。

 でも、菅さんは経済成長戦略を策定するなんていっています。

・・・・
 もう聞き飽きた方も多いでしょうが、GNH(Gross National Happiness=国民総幸福量)という考え方があります。経済成長やGDPを目標とするのであなく、本来の人間の目的である幸福量を増やすことを目標とする、ということです。これが正しい目標であることは、誰の目にも明らかです(言いすぎ?)。

 さて、これを国の主要な政策目標に取り入れる可能性はあるのでしょうか。ベーシックインカムを導入するのと、どちらがハードルが高いのでしょうか。どちらも人の幸福や生活の安定を目的としたものです。もしかすると、ほとんど同じタイミング、文脈で検討されるテーマになるかもしれません。

 GNHとベーシックインカム導入を一緒に検討、実現できると面白いんですが。格差問題、環境問題の深刻化を考えると、すぐにでも検討すべきと思います。

増税は悪ではない

 年の瀬が近づくにつれ、派遣村が話題になっています。賛否両論あるようですが、少なくとも住むところがなくて困っている人がいるのは事実です。

 一方で、住居は余っています。仮に全員分には足りなかったとしても、この国にはホームレスの方の住居を提供するだけの資源と技術は十分あるはずです。問題は、税金をホームレスの方のために使うかどうかという我々の選択にあります。

 私は、すべての日本人が失業など将来への不安がなく、仮に失業したとしても尊厳を持って生きることができるのであれば、その分増税しても国民にとってプラスだと思います。税金は、使い道さえ適切であれば、まわりまわってプラスになるはずです。だからこそ税金を払うのです。

 「国に○○の要求をするので、その分の税負担はする」という当たり前の思考回路を身につけて発言、行動しないと、いつか必ず行き詰ります。そろそろ「増税は悪」という発想をやめ、むしろ「税金の使い道をチェックしないのは悪」に切り替えるべきだと思います。こっちの方が大変なんですが、民主主義ってこれが基本なんだと思います。

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MH

Author:MH
株式会社アミタ持続可能経済研究所という環境コンサルティング企業に勤務。特に廃棄物問題についてコンプライアンス、適正処理・管理についてセミナーやコンサルティングを行っている。既に議論de廃棄物というブログを運営している。
ベーシックインカムについては、「環境問題を解決するために重要なツールとなる」という考えから興味を持つことになり、別途このブログを持つこととなる。


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